この記事のもくじ
会社概要
基本情報
社名 | 株式会社 コメダホールディングス |
所在地 | 愛知県名古屋市東区葵三丁目12番23号 |
事業内容 | 喫茶店チェーンを運営する株式会社コメダの持株会社 |
創業 | 1968年 |
設立 | 2014年 |
資本金 | 5億9,808万円(2019年8月末現在) |
上場取引所 |
東京証券取引所 市場第一部(銘柄コード:3543) 名古屋証券取引所 市場第一部 |
店舗数 |
コメダ珈琲店 849店舗 |
売上高 |
310.2億円(2020年2月期) |
営業利益 |
78.8億円 |
事業概要
株式会社コメダは、愛知県名古屋市に本社を置く、喫茶店チェーン・珈琲所コメダ珈琲店などを展開している日本の企業です。
1968年1月に創業者・加藤太郎が名古屋市で「コメダ珈琲店」を開店。元々個人経営していた喫茶店でしたが、1970年からフランチャイズ展開するようになり、1975年8月に法人として株式会社コメダ珈琲店を設立。1993年4月にフランチャイズチェーン運営を目的として株式会社コメダを設立しています。コメダ珈琲店のフランチャイズ展開を推し進める一方で、さまざまな実験店舗も展開しており、2014年11月28日に株式会社コメダを株式移転完全子会社とする単独株式移転により、持株会社である株式会社コメダホールディングス(コメダHD)が設立されています。なお、2016年6月29日にコメダHDが東京証券取引所市場第1部に上場しました。
事業の特徴として中京圏に強く、郊外住宅街立地の店舗が中心であるため、コーヒーチェーン他社との競合が生じにくく、また出店立地を確保しやすいため今後の出店余地も豊富であることと、また出店形態としてはフランチャイズ展開をしているから身軽である、というの特徴となっています。
またセルフサービスではなく、フルサービスを提供する昔ながらの居心地がいい「喫茶店」であることも見逃せません。
コメダ珈琲店のシロノワールはあまりにも有名です。
提案
カフェ業界2位のドトール・日レスホールディングスと業務提携を行い、
- 関東圏と中京圏の棲み分けを行う
- 星乃珈琲店のノウハウをコメダ珈琲店に導入し、あらたな客層の開拓
- 出店数がまだ少ない東北、関西以西エリアはロジスティックを共有するなど業務効率化を図っていく
- 原材料調達を2ホールディングスで一本化し、購買力を増しコスト削減を行う
- 共同で中国・台湾を狙っていく
ということを提案したいと思います。
背景(事実)
中京圏に強いコメダ、首都圏に強いドトール・エクセルシオール
コメダ、ドトール系の出店状況をそれぞれ日本地図上にマッピングしてみました。すると下図の通り、ドトール系は首都圏に強く、出店先も駅前などの人口密集地を狙って出店しているのが分かります。
一方のコメダ珈琲店は愛知県の会社ということもあり名古屋圏に店舗が集中しています。また出店先も郊外となっておりドトール・エクセルシオールとは被りません。むしろ補完関係にあると言えるでしょう。
市場動向
国内カフェ業界の動向(1/2)でも述べたようにカフェ業界全体としては持ち直してはいるものの成長率は1-3%程度です。
-
-
国内カフェ業界の動向(1/2)
日本国内のカフェ業界の動向について調べてみました。 国内カフェ業界 喫茶店市場規模推移 日本フードサービス協会の統計ページによると …続きを見る
また人口密集地は競合もひしめき合っているため、今後はまだ出店数が少ない地域をいかに伸ばしていくかがカギになると思います。
さらにコーヒー愛好家は年齢層が高いこともありますので郊外の余暇を楽しむ老人世代がターゲットになってくると思います。
悪材料としては、人件費の高騰による収益の悪化が挙げられ、いかに付加価値を付け客単価を上げていくかが成長のポイントです。
付加価値の一例としてサードウェーブコーヒーがあげられます。サードウェーブコーヒーとは、
19世紀後半から1960年代における、インスタントコーヒーなどの普及により急速に家庭に広まったファーストウェーブ、1960年代から2000年頃にかけてのスターバックスなどのシアトル系コーヒーに代表されるコーヒーの風味を重視するセカンドウェーブに次ぐ、コーヒー本来の価値を重視する第3のコーヒーの流行を指す
https://ja.wikipedia.org/wiki/サードウェーブコーヒー より
で、
- 銀座ルノアールに代表される昭和レトロ喫茶店 →
- ドトールに代表される「さっと飲むスタイル」→
- スターバックスに代表される「シアトル系カフェ」の台頭 →
- バリスタにより厳選された豆を用いたこだわりのコーヒー(サードウェーブコーヒー)
とまた原点回帰しているようです。
競合
国内カフェ業界の動向(2/2)に日本国内の主要カフェチェーンの売上高を掲載しています。
-
-
国内カフェ業界の動向(2/2)
日本国内のカフェ業界の動向について調べてみました。 前回の記事「国内カフェ業界の動向(1/2)」も合わせてご覧ください。 国内カフェラン …続きを見る
コメダ珈琲店は業界4位。競合にはスターバックスや、ドトール・エクセルシオール、タリーズコーヒーに遅れを取っています。
また、視野を広げてみると、セブンカフェに代表されるコンビニコーヒー、ファーストフード店のMac Cafe、ペットボトルのコーヒー飲料も売上を伸ばしており「早い・安い」分野では苦しい戦いが待っています。
自社
コメダホールディングの強み・弱みをまとめてみましょう。
強み
- 高い収益率(営業利益は25%を確保。競合はおしなべて10%未満の水準)
- 郊外に狙って出店しており競合他社と競争になりにくい
- FC展開を事業の柱としており出店負担が少ない
弱み
- 利用客の年齢層が高め
- フルサービスを提供しており、従業員の教育に時間がかかる
- 回転率も低い
機会
- 主要顧客層である老人世代が高齢化社会により増加する
- サードウェーブコーヒーと相性のいい、くつろげる空間を提供している
- コーヒー文化の浸透が発展途上である東南アジア、南アジア、中東市場
脅威
- コンビニコーヒーやコーヒー飲料の台頭により競争環境激化
- 異常気象によるコーヒー豆の不作によるコーヒー豆コストの増加
- 人手不足による人件費高騰によるコスト増
提案の根拠
コメダホールディングスの経営課題は、
- いかに落ちてきた営業利益率を回復するか
に尽きると思います。前述した通り、コメダホールディングスの主要ビジネスは喫茶店経営、というよりもフランチャイズビジネス展開であり、フランチャイジーからの手数料が主な収益となっていることから利益率が高いのはその通りです。
営業利益率が落ちてきた理由は財務諸表からはコスト増、としか分からず内訳は不明ですが、原材料の高騰ではないかと思われます。
再び高い営業利益を確保するのためには、以下3つの方法しかありません。
- 価格は変えず、コストを下げる
- コストは据え置きで価格を上げる
- 高利益率の商品を売る
2は論外ですが、1は大手商社と組んで原材料調達費用を下げたり、ドトール・日レスと調達を共通化することで実現の可能性があります。
また、3.については、いかにして高付加価値をつけるのか?となりますが、ここでサードウェーブコーヒーの出番です。近年はコメダ珈琲店でパフェなどの提供を始めたようですが、上質なこだわりのコーヒーを提供することで客単価を挙げることができます。もともと長居するお客様が多いのですから上質なコーヒーの良さを顧客にわかってもらうことで収益の向上が見込めるのではないかと思います。
この辺のノウハウはドトール・日レスホールディングスの提携により星乃珈琲店のノウハウを活用するのが手っ取り早いと思われます。